2011年7月10日日曜日

オルフェウス管弦楽団のDVD視聴~フェミニストカウンセリング研究会~

このところMASAさんの講演録の掲載が続いていますが、ちょっと他の報告。
昨日7月9日。2ヶ月に1回行われているフェミニストカウンセリング研究会がありました。前半はDV被害当事者の支援についての検討会。相談には何もできなさそうに、一見見えるような相談を受けたとき、その人のエンパワメントのためにできることは何か、あるいはその人の力をどうやって見出すかなど、短い時間ではあれ、有意義なディスカッションが交わされました。(と思っているのですが、参加した方どうでしたか?)

そして後半オルフェウス室内管弦楽団のドキュメンタリーDVDを見ました。オルフェウ室内管弦楽団は指揮者のない管弦楽団として知られています。1972年にジュリアン・ファイファーらによってニューヨークに創立されました。1997年と2008年に日本でも公演しています。昨日見たDVDは1995年に作られたもの。日本公演の2年前です。

指揮者がいない管弦楽団ということで、リーダーシップについての文章などでしばしば取り上げられていますが、このオルフェウスの原則は次の8つ。

・その仕事をしている人に権限をもたせる
・自己責任を負わせる
・役割を明確にする
・リーダーを固定させない
・平等なチームワークを育てる
・話の聞き方を学び、話し方を学ぶ
・コンセンサスを形成する
・職務へのひたむきな献身   

ですが、当日DVDを見ているときはそんなことはすっかり忘れ、見入っていました。


作中で演奏される曲は、比較的よく知られたもので、演奏のレベルも高く、それだけでも十分に楽しめます。構成も好評でしたし、「いいな、好きなことで生活していけて、仲間もいて・・」という視聴後の意見もあり、確かにとてもやりがいのある仕事、生きがいのある人生という感じでした。

このDVDのタイトルは「ORPHEUS IN THE REAL WORLD 26Musiciansー
26Conductors」。26人の演奏家=26人の指揮者ということですが、この演奏家を支えている事務方がいます。この人たちが26人の中に入っているかどうかはわかりませんが、オルフェウス室内管弦楽団の演奏を支える、言うならばマネージャーのような存在です。この人たちは演奏家たちの演奏に関する討論や高まり、チームワークの外側にいます。「彼は抑圧的だ」「彼は演奏家の心がわからない」「だけど、彼がいるから自分たちは演奏活動を続けていられるのだ」というジュリアンに対する演奏家たちの評価が、作中で紹介されていましたが、どういう役割で、演奏家たちとどういう関係にあるのか、興味のあるところです。

また作中の「意見があわないときは妥協することが民主制を支える」と言うような言葉も印象に残りました。理想主義的な組織運営と称されるオルフェウス管弦楽団ですが、理想を支えるには、それなりの苦みや辛さがあり、メンバー各々がその苦味や辛さも引き受けていく、そのことのほうにオルフェウスの真髄があるのではないか、そんな気がしました。

それと、メンバーの中に佐藤瑛里子さんという日本人女性がいました。日本女性は世界のどこにでもいるというのを以前に聞いたことがありますが、ホントですね。かっこよいことこの上ない。
(加藤伊都子)